【3Dアーカイブ】現代に繋がる正統進化:FOSTEX T50RPmk3 立体レビュー

FOSTEX T50RPmk3 の画像 3Dアーカイブ

はじめに

第2回目のお気に入り製品は、前回の記事で紹介した「T50RP(mk2)」の後継機、 「FOSTEX T50RPmk3」 です。

T50RP(mk2)を手にして以来、私はFOSTEXというメーカー、そしてRPシリーズが持つ底知れない魅力に取り憑かれ、あらゆる情報を収集する日々を過ごしていました。
当時、mk2は発売からかなりの年月が経過しながらも、依然として第一線で販売され続けている名機でした。当然、同社の他のモデルにも興味が湧きましたが、ネット上で目にする情報の多くは「MOD(改造)」に関するものばかりでした。

しかし、「メーカーが試行錯誤の末に、何らかの意図を持って提供している『そのままの姿』を体験する」ことを信条とする私にとって、何よりも待ち望んでいたのは、メーカーが正統にアップデートした「新製品」の登場でした。

振り返れば、当時は製品知識が浅かったこともあり、多くの好機を逃してきました。同時期に存在した「T20RPmk2n」や「T40RPmk2n」は、その製品名から勝手に廉価版だと思い込み、購入を見送ってしまいました。
今となっては、なぜあの時確保しておかなかったのかと、大きな心残りとなっております。
また「TH500RP」についても、より高価格帯の製品でありながらケーブル直付け仕様であることに迷いが生じ、踏ん切りがつかないまま現在に至っています。もし着脱式であれば、間違いなく入手していました。
こうした紆余曲折を経て、満を持して入手したのが、このT50RPmk3です。

【3Dアーカイブの閲覧について】

本ブログでは「XREAL Beam Pro」および「FinePix REAL 3D W3」を活用し、平面の写真や文章だけでは伝えきれないプロダクトの存在感を「立体(3D)画像」でアーカイブしています。

3D画像(SBS)

クリックで拡大表示が可能です。3D閲覧環境をお持ちの方は、全画面表示にしてデバイス側でSBSモードに切り替えることで、質感や奥行きをより詳しく確認いただけます。

3D画像(MPO)

あわせて掲載しているMPOファイルについても、閲覧可能な環境をお持ちの方であれば体験してみてください。
(閲覧環境例:VRゴーグル + SKYBOX VR Video Player)

FOSTEX T50RPmk3 の主な仕様

  • ドライバー: RP方式平面駆動型
  • 再生周波数帯域: 15〜35,000Hz
  • インピーダンス: 50Ω
  • 感度: 92dB/mW
  • 最大入力: 3,000mW
  • 形状: セミオープン型
  • 接続方式: 有線(片出し着脱式 / アンバランス接続)
  • プラグ: ステレオ標準プラグ
  • 素材: プラスチックハウジング / レザー調ヘッドバンド / 金属製スライドロッド
  • 質量: 約315g(コード含まず)

主観による評価

スペックだけでは見えてこない、私なりの独断と偏見の評価をチャートにしてみました。

音の傾向

  • 解像度: ★★★★★★☆☆☆☆
  • 高 音: ★★★★★★☆☆☆☆
  • 中 音: ★★★★★★★☆☆☆
  • 低 音: ★★★★★☆☆☆☆☆
  • タイプ: モニター
  • 音 場:近め(イヤーパッドが薄めの為)※T50RP(mk2)より若干クッション性が変化してます。

装着感・その他

  • 締め付け: 普通
  • 重量: 若干重め

ドライバー

本機の核となる「RP(Regular Phase)方式」のドライバーについて、私自身の主観をメインにお話しします。
全体としてmk2から確実にブラッシュアップされており、奏でる音がより詳細に、解像度高く聞こえるようになったと感じています。一般的には「かまぼこ型」と言われる音の形状ですが、その特性は維持したまま、聞こえる音の質感がより豊かになりました。

RP型ドライバー最大の特徴である「瞬発力」は、本機においても健在です。低音域についても非常に「ハキハキ」としており、一音一音に力強い「メリハリ」があると感じます。mk2から確実なバージョンアップを遂げていることを肌で感じ、当時は「待ち続けた甲斐があった」と、非常にテンションが上がり、喜んでいました。

製品および各部について

パッケージと本体

パッケージ内容は、本体、説明書、そして2種類のケーブルのみ。mk2同様、業務用の機材らしく梱包も付属品も非常に簡素な構成です。今回に至っては、mk2を通じて「こういうものだ」と既に経験済みだったため、逆にこの素っ気なさに「らしさ」を感じていました。「ついに正統な新製品が来たぞ!」という実感が湧く仕様でした。

サイドバイサイド(3D)の画像です。閲覧環境をお持ちの方は、ぜひお試しください。

MPO(3D)ファイルです。閲覧環境をお持ちの方は、ぜひお試しください。

ハウジングと調整機構

ハウジングはプラスチック製です。mk2と大きな違いはなく、流行にも流されない特徴的な形状を維持しています。私の中ではmk2の時点でこの形状の実力は証明済みですので、むしろ安心感を覚えるデザインです。
無骨さも健在で、相変わらず「ごつごつ感」が満載です。配色についても、前作より洗練された新しさを感じるデザインだと思います。剥き出しのスライドロッドについても、これが無いと寂しく感じるほど、私の感性にグッと刺さる外観です。

正直、これまでは「女性にはあまりお勧めできない」なと思っていました。しかし、ヘッドホンを題材にしたコミック『ミミヨリ ハルモニア』の第1話にて、女性キャラが本機を着けているシーンを目にし、その格好良さに驚きました。華奢な女性と無骨な本体とのコントラストには、非常に感動させられました。まだ未読の方は、ぜひ作品名で検索してそのビジュアルを確かめてみてください。

サイドバイサイド(3D)の画像です。閲覧環境をお持ちの方は、ぜひお試しください。

MPO(3D)ファイルです。閲覧環境をお持ちの方は、ぜひお試しください。

ヘッドバンド

ヘッドバンドは、mk2から明確な変更が見受けられます。一枚の分厚いゴムベルトのような素材から、合皮素材の中にクッションが入った部品へと変更されました。素材の変更によって重量が軽くなったことは、当時は良い改善だと思っていました。しかし、長年所有していると合皮特有の経年劣化が避けられないことが分かり、今では少し残念な変更だったなと思うようになりました。とはいえ、トップに刻印された「FOSTEX」のロゴは相変わらず格好良く、それだけに素材の劣化が悔やまれてなりません。

サイドバイサイド(3D)の画像です。閲覧環境をお持ちの方は、ぜひお試しください。

MPO(3D)ファイルです。閲覧環境をお持ちの方は、ぜひお試しください。

イヤーパッド

イヤーパッドの素材は合成皮革です。mk2とは本体への取り付け方が異なっているようですが、使用感としては「若干良くなったかな」と感じる程度の微差であり、少し薄手であることは否めません。ただ、装着感自体には不満はなく、交換品も比較的簡単に手に入るため、長期運用の安心感は健在です。

サイドバイサイド(3D)の画像です。閲覧環境をお持ちの方は、ぜひお試しください。

MPO(3D)ファイルです。閲覧環境をお持ちの方は、ぜひお試しください。

ケーブル

mk2同様、有線の片出し着脱式を採用しています。私が当時購入した個体は「T50RPmk3n」という名称で、付属ケーブルの先端(プラグ)が金メッキ加工されていないタイプでした。現在は、プラグが金メッキ仕様になった「T50RPmk3g」が流通しています。

プラグの接触不良は、mk2時代から経験していた「唯一の弱点」とも言える部分でしたが、私はメッキ加工されたケーブルを別途導入することで解決済みです。その後のロットで金メッキ仕様が標準付属となった経緯を見ても、FOSTEXは職人としてのこだわりを持ちつつ、ユーザーの声を反映させる柔軟さを併せ持ったメーカーだと感じ、ますますファンになりました。

※写真は、別途導入した金メッキバージョンのケーブルです。

  • 【オレンジ色】Φ3.5mm ステレオミニフォーン・ケーブル (1.2m)
  • 【黒   色】Φ6.3mm ステレオフォーン・ケーブル(3m)

サイドバイサイド(3D)の画像です。閲覧環境をお持ちの方は、ぜひお試しください。

MPO(3D)ファイルです。閲覧環境をお持ちの方は、ぜひお試しください。

本体重量

本機の重量は約315g。mk2から15gほど軽量化されましたが、その理由は後述するヘッドバンド部分の変更によるものと推測しています。とはいえ、ヘッドホンとしては依然として重い部類に入ります。
しかし、前回の記事でも述べた通り、私は「軽くなくても、しっかりとした重量感がある方」が好みです。この重みこそが、RP型ドライバーという特別なユニットを搭載している証だと思っているので、本機についても「無理に軽くなくてよい」と肯定的に捉えています。

接続方式

接続方式は、一般的なアンバランス方式を採用しています。
先述した通り、初期モデルではプラグのメッキ処理に違いがありましたが、それもメーカーが試行錯誤を重ね、より良い製品へとアップデートしていった結果だと捉えています。
私自身、その対応を含めてFOSTEXというメーカーの姿勢を尊重しているため、全く気にしておりません。

脱着式のため断線時も自分で簡単に交換でき、回して固定するロック機構も健在です。こうした「道具」としての信頼感は、FOSTEXおよびRPシリーズならではのポイントだと思います。

主観レビュー

見た目(外観)については、お気に入りのmk2に「待望の兄弟」ができたような感覚があり、とても気に入っています。
音についてもmk2からの進化を明確に感じ取ることができ、順当に進化した製品だと実感できました。瞬発力があり、ハキハキとしたメリハリの良さが、「やっぱり自分はこの音が好きなんだ」と再認識させてくれる製品です。

音の鳴らしやすさについてですが、直挿しでも聴くこと自体は可能ですが、本機の性能をフルに発揮させるためにはアンプが必須だと思っております。同価格帯の一般的なダイナミック型に比べれば明らかに「鳴らしにくい」部類に入りますが、そのポテンシャルを引き出す過程も、本機の醍醐味だと言えます。

まとめ

今回のmk3は、単なるマイナーチェンジではありません。メーカーが当時の「MOD(改造)文化」に対する一つの回答として送り出した、非常に重要なモデルではないかと思っています。

もちろん、私自身が「そのまま」を信条としているだけであって、MODを否定する気持ちは全くありません。むしろ、これほどの名機でありながら長期間後継機が出なかったことで、「こうなったらいいな」というファンの熱い思いがMOD文化を支えていたのだと考えています。実際、メーカーがその思いに応えるようにmk3を世に出して以降、ネット上でMODに関する情報はほとんど目にしなくなりました。

振り返ると、mk2からmk3が出るまでには長い時間を要しましたが、それ以降は短いスパンで後継機や派生機が次々と生まれるようになりました。ファンとしてはありがたい限りですが、私にとっては、このmk3こそが現在の「コレクション爆増」を招いた決定的なきっかけとなった製品でした。

そのような背景を持った、FOSTEX・RPシリーズにおける「転換期の一台」として、今回は本機のお話をさせていただきました。

このブログを通じて、名機である本機の魅力が、少しでも多くの方に知っていただく機会になれば幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました